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最後の大津線旧塗装車塗り替え実況レポート

大津線の電車も塗装変更が完了し全てが新塗装となりましたが、京阪電車様のご厚意で、最後の旧塗装車(700形709-710号編成の710号車)の塗装変更作業をホームページ上で公開させていただけることになりました。
普段は見られない塗装作業についてご紹介します。

旧塗装で活躍していたころ


旧塗装で活躍していた事の700形709-710号。 2017年の撮影です。


2月24日


写真1
塗装ブースは車庫の一番奥の密閉扉の奥にあり、天井には換気の設備があります。
写真に映っているのは一足先に塗装変更が終わったペアを組む709号車です。


写真2
710号車を塗装ブースに入れるために709号車を塗装ブースから構内移動します。
仮台車で自力で運行できないので、アントと呼ばれる小型のディーゼル機関車でけん引します。


写真3
今回取材させていただいた塗り替え作業直前の710号。このカラーもいよいよ見納めです。
本来の台車は寝屋川車庫で点検作業中で現在は仮台車(写真4、旧京津線80形のものを転用)になっています。
写真4 80形台車


写真5
塗装の傷んでいる部分にはマーカーで印がつけられており、この後補修作業が行われます。
下側の窓ガラスと窓枠も既に取り外されています。

3月3日


写真6
先ず、塗装の傷んでいる箇所を補修し、平坦に研磨して下地を作る作業を行います。
綺麗な塗面実現には欠かせない、塗装行程の中では一番時間の掛かる作業です。(写真は行程途中)


写真7
写真5で印の付けられていた場所などを中心にパテを盛った後、マイトン(写真8、紙やすりで研磨する)という工具を使って平坦に仕上げます。 雨どいの下やドア横窓周辺など、水の溜まりやすい場所は塗装も傷みやすいようです。
写真8 マイトン

3月6日


写真9
下地の補修後洗浄を行い、塗り分けの為にマスキングといって塗らない部分を紙などで覆います。
最初に上半分の濃緑色(レスト・グリーン)から塗装するため、先ずは塗装しない下半分と窓などの開口部をマスキングします。車体下側の覆われた部分が白色(アトモス・ホワイト)と黄緑色(フレッシュ・グリーン)の帯に塗られる部分で、旧塗装とは塗分け線の位置が違う(低い)のが良く分かります。


写真10
窓などの開口部も塗料が入り込まない様にしっかり覆います。
ドアなど段差のある部分も念入りにテープで覆われてます。


写真11
パテが目立ちますが指先で触っても段差を感じないまでに滑らかになった前頭部。
運転室の窓はもちろん、ヘッドライト、行き先表示器、パンタグラフなど屋根上の機器もしっかりマスキングされています。

3月7日


写真12
上半分が1色目の濃緑色に塗装された前面。
本線車両を保守する寝屋川車庫では塗装作業もロボットで行いますが、塗装作業の頻度の低い錦織車庫では換気設備の整った車庫内の専用区画でベテランの職人さんがスプレー(写真13)で吹き付けます。
写真13 スプレーガン


写真14
ドアや窓枠の断面部分まで側面もすっかり綺麗になりました。下側が照明の具合で白っぽく見えていますが、
この時点ではまだ従来のダークグリーンのままです。


写真15
写真8と同じ部分ですが、艶やかに仕上がって天井の照明が写り込むようになりました。

3月8日


写真16
上半分に続いて下半分も白色に塗られて旧塗装はすっかり見えなくなりました。
白色部分上辺に重ねてこれから黄緑色の帯を塗り重ねます。 基本的に色を重ねる場合は明るい色を先に塗るそうです。 また、先頭や車側の行き先表示器周囲は黒色塗装のためのマスキングがされています。


写真17
白色と濃緑色の塗分け線の直下に黄緑色の帯を塗り重ねるので、黄緑色帯の上のマスキングはそのままでも構わないのでは?と思われるかもしれませんが、マスキングは吹き付け直後に剥がさないと美しい塗分け線にならないので、写真の様に一旦塗分け線近くのマスキングは剥がします。 従って黄緑の帯を塗る際には再度同じ位置(黄緑色帯の上部、濃緑色との境界)と帯の下側(黄緑色帯の下部。白色との境界)にマスキングをすることになります。


写真18
外側がマスキングされている状態の車内。中に塗料が吹き込むことはなさそうですが、
座席背もたれ(座布団は取り外されています)などもカバーされています。

3月11日


写真19
黄緑色(フレッシュ・グリーン)の帯が入って塗装が一旦終了しました。 この後車番やマーク類のシール貼りや細かい修正作業などが行われます。 写真16と比較すると白色(アトモス・ホワイト)のベースカラーの上に帯が塗り重ねられたのが分かります。


写真20
後程シンボルマーク(フラッグK)のシールを貼る場所などにガイドテープが貼られている前頭部。
屋根の上のグレーやパンタグラフなども塗り直されています。


写真21
台車など一部の機器は本線の寝屋川車庫にトラックで運んで点検整備されますが、この日は寝屋川車庫から戻ってきたばかりの台車を上から眺めることが出来ました。 普段は目にできないモーターと車輪の継ぎ手部分、電気配線、ブレーキや空気バネへのエア配管なども良く見えます。 普段はあまり目立たない台車ですが、こうしてみると非常に大きく、一両分(2基)で6.5t程もあるそうです。

3月29日


写真22
約2か月に及ぶ検査が終わり、新し塗装の美しい車体に、入念な検査を受けた台車などの主要部品を組付け、車庫内での確認も終わった車両はいよいよ近江神宮前と坂本比叡山口の間で試運転を行います。 普段は早朝の列車以外は通らない、近江神宮前駅坂本側の渡り線を通って坂本比叡山口に向かいます。


写真23
今年は例年より早く、満開になった桜が試運転電車を迎えてくれました。(穴太駅)

※ 今回のレポート作成にあたっては京阪電鉄大津営業部技術課の堀井様はじめ錦織車庫の皆様に大変お世話になりました。文末になりましたが改めて御礼申し上げます。